セリム先生の文化交流ティー・トーク

好評連載中のインタビュー・シリーズ!


昨今では、毎日のように「イスラーム」という言葉を耳にします。
イスラーム圏を旅行する日本人は年々増えており、
日本に暮らすイスラーム教徒の姿を街で見かけることも、
珍しくなくなってきました。そこで、この新しいシリーズでは、

「Q&Aの会」や「セリム先生を囲むティー・トーク」で
おなじみのギュレチ・セリム・ユジェル氏に、イスラームの本音と
ありのままのイスラームの魅力を語ってもらいます。
在日18年、日本・イスラームの文化交流に東奔西走する

日々のエピソードや、イスタンブルの思い出を交えた
セリム先生のティー・トークを、どうぞお楽しみください。



ギュレチ・セリム・ユジェル
イスラーム文化センター代表


 第四話 日本に来て驚いたこと(その4)


「緑の木々の豊かさに、
 ムハンマドの教えを思いました」
            ──ギュレチ・セリム・ユジェル氏


セリム先生 アッサラームアライクム(アラビア語で、あなたの上に平安がありますように、の意)。

── ワアライクムッサラーム(あなたの上にも、の意)。セリム先生は、イスラーム文化講演会でも、出張講義でも、必ずこの「アッサラームアライクム」の唱和から、お話を始めていらっしゃいますね。

セリム先生 それと笑顔です(笑)。前にもお話しましたように、この挨拶は、国境に関係なく、世界中のイスラーム教徒に通じる便利な言葉であり、万国共通の人の心をひらく鍵であります。と同時に、「サラーム」という言葉には、「平和、平安、道」といった意味があり、「イスラーム」の語源でもあるんです。

── イスラームはまさに、平和の宗教なんですね!

セリム先生 イスラーム諸国は、中東や北アフリカを中心に、中央アジアから東南アジアまで広がっていますが、ヨーロッパ、アメリカやカナダでも、イスラームの人気はますます高まっています。また、日本国内にも10万人ほどのイスラーム教徒がいます。その8割は外来者ですが、日本人の入信者も1980年ごろから増えて、現在、推定で2万人前後がイスラームの信者であるとされています。このように広い地域で、たくさんの人たちが使っている平和の挨拶が、日本の街角でも、自然に飛び交うようになるといいな、と期待しています(笑)。

── 日本におけるイスラームの広まりを、リアルタイムでご覧になってきたわけですね。

セリム先生 来日したのが、1990年の4月4日でしたから、まもなく18回目の春を迎えます。そのときの光景は、昨日のことのように目に浮かびます。大阪空港に着いた次の日、広島大学に向かうため新幹線に乗りました。まず、新幹線を見て感激したんですね。私はトルコの内陸部出身で、電車を見たのも、海を見たのも、イスタンブルの大学に入学したときが初めてだったんです(笑)。ですから、高速の新幹線には感銘を受けました。でも、もっと驚いたのが、車窓を流れていく風景でした。右を見ても左を見ても、きれいに木が植えてあって、一戸建てが多い。それから花。4月だったので、あちらこちらに、いろんな花がきれいに咲いていまして、広島市内に入りますと、もうツツジが咲いていました。心が震えたことを今でも・・・。

── それは、うれしい驚きでした(笑)。

セリム先生 イスラームでは、緑の木をとても大切にするんですね。木の苗を手元に持っていて、明日この世が終わると知っていてもその苗を植えなさいと言う、預言者ムハンマドの言葉があります。また、イスラーム圏で広く行われていることですが、子どもが生まれたら、木を植えます。そうして、その木が子どもと共に成長して、木陰で多くの人が休めば休むほど、つまり木陰が活用されればされるほど、その木を植えた人と子どもには、アッラー(神)からの報奨をもらえる、とされています。緑の木々の豊かさにも、日本とイスラームの共通項を見出せて、とってものどかな気分になりました。(つづく)

3月12日(月)掲載。

■ Profile
ギュレチ・セリム・ユジェル
イスラーム文化センター(京都)で活動中のギュレチ・セリム・ユジェル氏は、トルコのイスラーム学院、東京大学大学院、京都大学大学院で学び、トルコ大使館報道部勤務、東京モスク副代表を経て、来日以来一貫して、日本・イスラームの文化交流に取り組んでいます。

在日18 年、流暢な日本語とユーモアあふれる存在感で、誰からも「セリムさん」と親しまれるギュレチ氏は、立命館大学、東洋大学、YMCA専門学校ほか、全国各地で講義を行って人気上昇中。毎月、東京、京都、大阪で、「何でも聞けるイスラームQ&Aの会」を主宰し、どんな質問にも丁寧に答えてくれると評判に。その活動ぶりは、新聞・雑誌にも多数取り上げられています。

論文に「日本に来たムスリムたち」「イスラームと新技術」、近刊に「イスラームと日本12話 文化交流ティートーク」(2007年刊行予定)などがあります。



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